― 聖神神殿・鍛錬所 ―
[こちらが必死で、地道に素振りの鍛錬を続けている横で。
アイルリートはと言えば、徒手空拳とはいえ涼しい顔で素振りを終え>>299。
どう見ても自分よりは細い腕で片腕立て>>300をやり終え、更に組手までも開始していた>>301。
その間こちらへ向けられた言葉も、一切乱れる様子はない]
……いや待て。
[1時間も目前という頃合い。
600回目の素振りを終えた男は、地面に菓子を広げるアイルリート>>303へ、とうとう突っ込みを入れる。
これは流石におかしいだろ。
幾ら異世界人が普段から鍛えてるとしてもだな。
一応同じ人間なら、筋肉だって――
[そこまで言って、言葉を切る。
疲労で朦朧としたせいか、アイルリートの体が、膜がかかったようにぶれて見えたのだ。
おまけに、地面にも何か、もやもやしたものが見えるような――]