― 団欒室 ―
[城へ戻る道すがら、イドにより多くの者は王子の私室に集まっているらしい情報は聞けた。
イドの案内に従ってたどり着いた団欒室には、ソマーリュとドールと――、そしてぐったりとソファに眠る兄の姿を見つけ、急いで駆け寄る。]
兄ちゃんッ!
[兄とは私室で別れたきりだった。肩を揺すってみるが、目を覚まさない。
ここに来るまでにまたケガをしたようで、手首に切り裂いた痕から流血が残る。
血が足りないのだろうか――、青白い顔色にやりきれない思いに胸の奥が苦しくなってくる。]
起きてよ兄ちゃん…、ここまで頑張ってきたじゃないか!
[自分の舌を噛み抜いて兄の顎を持ち、血色の悪い兄の唇をこじ開けるよう自分のそれを重ねる。
血で溢れる自分の舌を、兄のものに絡めるように深く口づけて。
兄が意識を取り戻すまで、そのままでいるつもりで。]