― 某県某所・通学路 ―[強く、強く、風が吹き抜けた。そんな感覚に思わず目を瞑る。恐る恐る開いた時、目に映ったのは]……ここ……。[見慣れた、寮へと続く道。夕暮れの風がすぐ横を吹き抜けていく。ふ、と手に重みを感じて視線を向ければ、そこには銀の腕輪。握り締めた手の中には、正八面体の感触がある]…………帰って来た…………んだ、なぁ。[ぽつり、と呟く声はどこか惚けたもの]