[ 最初は何かを感じ取るだけだった。
次に声が聞こえるようになった。
徐々に死者の影が見えるようになった。
更には姿がはっきりと視認できるようになった。
本人の意思とは無関係に、寧ろ意思とは反し。
歳月を重ねる度に性能は研ぎ澄まされ、
死者の嘆きの聲は鮮明に聞き取ることが出来るように。
死者の聲を聞くこと、姿を視ることは種族の特性では無く、
注入されたガルーの能力である。
故にそれらを酷使し続ければ、人間だった身体はやがて
真のガルーへと近付いていく。
血を甘く美味なものと思うようになること。
人を喰らいたいと思うようになること。
身体能力、特徴が獣のそれに近付くこと。
実験の責任者はかつて語った。
『数年も経てば、アレは完全なガルーへと進化するだろう』 ]*