― 3年前:魔境の丘を眺めて ―
[ うっそうとした森の中、黒馬に跨って丘の上の少年たちを見上げる目がある。
テオドールだった。
この年この日に、彼らがここに来ることを、テオドールは知っていた。
ふいに向きを変えた風のきまぐれで、古い歌>>307が漏れ聞こえた。
無意識に手のひらが、まだ癒えていない左脇腹の傷に触れた。 ]
誰も手を触れない状態で、魔物が通り抜け可能なほどに扉が開くまで、最長でもあと12年。
最短ならば8年。
[ ソマリアランの説明の声までは聞こえなかったが、
そのつぶやきは、丁度それを補足するようなタイミングだった。 ]
鍵を使えばもっと早い。