― アレイゼル領 ―
「あのう、姐さん」
[ サシャ率いる私兵の一隊が、ジェフロイとガートルートのアレイゼル領入りを探り出してすぐに、若い兵たちの間でもリーダー格の一人が、サシャの顔色をうかがうように声をかけた ]
「姐さんだけ知らないってのも、あれかなーっと思うんで、言っとこうと思うんですが…クロード・ジェフロイてのは、頭領の大事な友人て人の息子なんだそうです」
[ それは、クレメンス自身からではなく、シュビトの集会へと潜入するにあたって、彼の傍近くに常につく古株の私兵から、若い私兵達に内密に伝えられていた話だった ]
「頭領は、構う必要も助ける必要も無いって、言ってたんですけど、死なせたりしちゃいけねえって、俺達の間では…」
[ 暗黙の了解として動いていたのだと、そう告げて ]
「伝えるのが遅くなってすみません」
[ と、若い兵は、頭を掻いた** ]