[バルタザールの涙を拭いながら、己が雫で咲いた花>>6:+63を思う。
あの時見た夢は、なぜか過去の追想であると確信していた。
それならば、この血に宿るのは、"のろい"ではなく"まじない"なのだろう。]
"お前がアレクシスか"
[いつかも思い出せない幼い頃、名も知らぬ年老いた吸血鬼が告げた言葉は、小さな心に深く刻み込まれていた。
祈りのように言い聞かせ続けてきた言葉>>3:-105は、もしかしたら本当のことだったのかもしれない。
誰もが忌々しく呼ぶ名を、初めて別の感情で紡いだ存在。
布に隠れた顔はよく見えなかったけれど、しわしわの手だけは覚えている。]