[矢尻の位置から、傷は縦方向に走っていた。
どうやら、ぎりぎり大きな血管を傷つけずに済んでいるようだった。
噴き出す血の上から、酒をばしゃりとかけて。
傷口をふさぐようにぎゅっと皮膚を圧迫すると、ぐるぐると布を巻いた。
布は、見る見るうちに赤く染まり、軍服を濡らしてゆく]
――……でもなんとか、止まる、な。
[よかった、と小さく呟いた。
赤く染まった布の上から、もう一度布をぐるぐると巻いて。
ふ、と一息つくと、振り返ってウェルシュの方を見る]
ドーベルニュ少佐。……終わりましたよ。
大丈夫ですか?
[ウェルシュの顔を覗き込み、顔色と表情を*伺った*]