[>>314 首元から止めどなく溢れる赤が黒いローブを更に昏く染めていく。]
……ヴェルザンディ。
[名など名乗り合ってるのを少し可笑しく思いながら、一度目を伏せ、開くと眼前の男を強い瞳で見据えた。]
ローランド。
我が王は強い。精々死力を尽くして戦うことだね。勝てやしないだろうけれど。
[笑みすら浮かべてそう言い終えると。
ごぽりと口から赤を吐きだすと同時、すでにその耐用年数が大幅に過ぎていたのをヴェルザンディの魔力でつなぎとめていた魔鏡が粉々に砕け。
ダガーを握る手からはがくりと力が抜けた。]