[旋回し、立ち向かってくる戦乙女を払い落とす双頭翼狼の背で、道化師のカタチが崩れた。崩れたモノは一度凝縮した後、魔力の粒と化して部屋全体を覆い尽くす。呪言もなく発動するのは加重の魔術。動きを鈍らせ、飛ぶものを地へ落とす重力の法だ。対象は当然、玉座の前に立つ『始原の秩序』とその影である戦乙女たち。同朋や勇者らには一切効果は及んでいない][魔術が発動する際、上空を見たものはいただろうか。上空の飛び回る双頭翼狼の背に道化師の姿はなく、在るのは灰銀の毛並みに埋もれた仮面のみ**]