― 中庭 ―
[ウンブラの足元のお菓子に、シメオンは気付いているだろうか。
いずれにしろ、あれは彼らの獲物だろう。
次の作戦はどうしようか、と思っていたところに、くるるる、と相棒からの声がする]
どしたのココン――あ!
[見るとココンの視線の先、平べったい丸形のお菓子が落ちている。
一度だけだれかのお土産で見たことがある、マカロンというやつだろうか]
ごめん、私あれを拾わなくちゃ!
[シメオンに協力するのはやぶさかでないけど、目下の危機はそれだった。
目を離している隙に、ココンが好奇心に負けないとも限らない]