人狼物語−薔薇の下国

68 Es2nd― 緋の世界に滲む月 ―


狩猟師 ギィ

[不意に、身体が軽くなった気がした。
倦怠感も眠気も一気に醒めて、思考がとても鮮明になる。
朱に染まる指先を持ち上げた。
これまでのように、むしゃぶりつきたくなるような欲求は
不思議と湧き上がらなかった。]

 ――…王子の味、か。

[それでもちろり、中指に付着する鮮血を舐めてみる。
"悪くはない"人間の血の味だった。

不意、真横で倒れ込んだままの不完全な物体を見遣る。
半身からくゆる蒸気の量が、増えてゆき、やがて――

完全な肉体を取り戻した。]

 生きたいと、願うのか… お前も。

(316) 2013/10/12(Sat) 15:14:48 (presage)

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