― 医務室への道中 ―
[さて、医務室に向かうと言ったものの…肝心の用向きが決まっていなかった。
機密の内容を下手に口外する事は出来ない。相手が敵だった場合はもちろん、寧ろ敵でなかった場合に巻き込んでしまう。
薬を貰いに来ましたと言おうか、何の薬を?
いっその事素直に彼女に紹介されて来ました、と言えば良いような気がする。]
prrrrr…!
[通信機がけたたましく鳴り響き、(同行者が入れば配慮しつつ)慌てて着信に出る。相手はコンタクトを取っていたジャーナリストのチャーリーだ]
お世話になります…!
はい、はい…もうそろそろ亜空間に入る頃です。
はい、データの方は肌身離さず。
…はい!必ず、必ず公表しましょう。
こんなこと、許しておけません…!
ありがとうございます!
では、空港で。
[電話を切った後、彼の表情はわずかに自信を取り戻したようだった。]
――大丈夫。僕は間違ってない。
間違ってなんか無いんだ…