人狼物語−薔薇の下国

297 吸血鬼の脱出ゲーム


【見】 白絽侯 ソマリ

[かつて───それほど遠くはない過去のある時、
こんな、月の美しい夜に人間を攫ってきたことがあった。

戯れか、恋にでも落ちたか、
その時の自分の心持などとっくに忘れている。
ただ、瞼の下から赤い雫を零している姿を見た時、思ったのだ。

 この下の眼が見たい。

衝動の赴くままに城へ連れ帰り、血を与えた。
瞼を吸った時に背筋を駆け昇った感覚は、今も覚えている。
それは吸血鬼さえも侵しかねない魔素の滴り、
危険と裏腹の甘露だった。]

(316) 2015/01/30(Fri) 15:56:10

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