[二年前まで将軍であった男は新兵や誰かの直属というものでもなければコリドラスが練兵を行わなかった兵の数のほうが少ない。麾下の重騎兵はもちろん、先ほど突き抜けた重歩兵群もまた見知った存在であった。
『正しいことに力を使いなさい。少なくとも自分がそう信じれることにですよ』
そう聞かせた言葉を忠実に守っていたのだろう。彼らはディークへと正しさを見出したのだろう。て手心を加えないのが戦場の常であるが裏切りではなく成長ともとれる。
同じように成長を見た。クレイグ侯の子供。然程かかわりをもたずにいたコリドラス。なにせ、彼は領主の息子というだけで媚るものもいた。
皆が皆そうして過大な扱いをしていたら歪んでしまう恐れもあったから...は普通に父親の臣下としての分を弁えた立場で接した。
それは湾曲的にクレイグ候が偉いのであって。クレイグ候の子供は別段偉くもないのだ。という意味も、奇妙であるという印象の裏には隠されていた。
同時に自らの手で従えるだけの器量を身に着けてほしい。そんな願いを密やかに抱いていた]
(もうあの方の息子。としてみるわけにもいきませんね)
[誘いに心が震えなかったかといえば嘘になる。
よく育ったものだ。と、いつもの飄々とした笑い声をあげた]