[分身が此方に在るということは野茨公そのひとは歓迎の正餐に居るのだろう。] 逢いに来て下さり有難う御座います。 では、あちらで、再び、……御目に掛かりましょう。[距離をはかるように言葉選びに僅かの間が空く。踵から蔓のびる野茨公の分身に礼をしてから] では、参りますか。[知らせをくれたヴィンセントを追うように部屋を出る。その手には飲めぬままのグラスがあった。]