[ 嵐風が立ちこめていた薄雲を振り払ったように青い、海の底のように深い青空が広がっている。一陣の煙が彼方から飛び立ち、鮮やかなしるしをそこに残していくのを見えない筈の両目で《視た》。 ]春が戻ってくるのかな、燕が連れてきてくれるんだろうか、また、ここにも。[ 青空に走る白い痕跡が消えた後には、焼け焦げた木と黒く縮んだ下草の間に、木の幹に覆われて焼け残った小さな花が揺れている。** ]