[遠目に。それまで指揮を執っていた姿が傾くのが、見えた。] ………………、――……。[ぞわり――…胸が、騒いだ。バリケードの炎は幾分収まりは見せたものの、いまだ黒い煙が立ち上っている。] ……親衛隊。少し、出るぞ。[ただ、不安に駆られて。かつての後輩の姿を、確認しようと、馬に跨がる。それまで風に揺らいでいた紋章旗が、たなびく煙に巻かれ。その姿が、不意に掻き消えた。]