[「ゲオルグおじさん」は、ウェルシュの幼い頃よりストンプを訪れていた。…かつて、持参する手土産は二つだった。
ひとつはウェルシュに宛てたもの、そうしてもうひとつは、]
ウェルシュから渡してやるといい。
[そう言付けて、彼の腹違いの姉の少女の分を用意した。]
[会えなかった訳ではない。
が、会い難かったのもまた事実だ。
ストンプ候の夫人は少女の母を、当然であろうが嫌っていたし、その上でストンプ候の友人たる自分が堂々と少女と対面しては、むしろ彼女らの立場を悪化させてしまう恐れがあった。
けれどウェルシュと彼女の仲は良いようで、度々「お姉ちゃん」の話を聞いた。だからウィズルカという名の少女のことは、彼女自身よりもウェルシュを通して聞き知ったことの方が多い。]