……。
[聞いた時から、答えは分かってはいたのだが。あっさりと肯定を返されるとさすがに絶句した。
あまり詳しいわけではない。教会にある書物では魔物が跋扈する危険で恐ろしいところという記述しかなかった。だから男の幸いという言葉を、きちんと理解できた訳ではない。なにせ神々のおわす世界から、一瞬でここに飛ばされたのだから。
けれど]
――え?
[尋ねても、という言葉に不思議そうに首を傾げる。質問の意味がよく理解できない。ただ、無関心そうだった男がこちらに興味を持ったことに気付けば]
………。
[腕の中の存在を守るよう、心持ち背中に隠し後ろに下がる]
…わたし、は。
(たぶん。神に、見放されたのだろう。それともこれは試練なのだろうか)
…人間、です。