[長い時間を要したが、幾つかの条件を飲むことと引き換えに、軍属の地位のまま前線に留まる許可が下りたのが丁度2年前。
純粋な付き合いを経ての流れではあるものの、
結果的に、妻アリーセとの婚姻も後押しになってくれた。
間にもうけた長男、エリオットの存在も、また。
当主を襲名した兄が大の女性嫌いで子を成さぬ為、家柄と血の問題も当面は解消される。
今となっては、あれだけ頑として首を振り続けた父の想いも、
子を、その先を思えばのことだったと理解出来る部分もありはする――――けれど。
譲れるものと譲れぬものが、内に在る。
行動原理も指針も目的も、己が剣振るう意味も。
全て、士官学校時代に得たものだ。]