― 夜 ―[かちゃり、と戸を開く。鍵は掛けないでおいた。 誰もいないことを確認してから、階段へ向かおうとして―― 向かいの部屋の、ドアと床の隙間から、つ、と一通の封筒を差し入れた。 そうして、階段を降りてゆく。 その首には、ロザリオは掛かっていなかった。 手首を切った跡はあるが、止血はしないままに、導かれるように裏口を出た。]