[自分が、と名乗り出たのはハンスだった。
装甲の固い鎧竜を操る彼にはその役は適役と思える。]
畏まりました。
精一杯、お手伝いをさせて頂きます。
ですからハンスさん。
どうかよろしくお願いします。
[少女が養成学校に入った頃、先達には彼がいた。
農家から騎竜師を志すのは一大決心だっただろう。
騎竜師の家系に生まれた少女は、幼い頃から竜について知る機会があり、適性があれば騎竜師となる事が当然とされてきた。勿論、自身も望んでのものではあったが。
心ひとつで彼が踏み出した一歩はとても大きなものであったと思う。
学ぶ事はきっと多かった筈だが、それでも他の生徒に変わらぬ態度で接してくれた。
此処に来てからも、ずっと心を配ってくれる。
少女はそんな彼を尊敬している。]