『――…へェ?』
[シスターが人狼という存在を識っていたことが少し意外で、獣は軽く瞠目して見せる。
そう、少なくはないのだろうか。人に混じって生きる同胞は。]
『そうさなあ。アンタは、ここまでだ。
――…死ぬのは、怖い?』
[尋ねてみるのは、言葉遊びのようなもの。
諦めの滲む声ながらも、けたたましく騒いだりなどということはなくて、落ち着いているなと顔を覗き込むのだった。]
『少しは――…痛いかもな?』
[そのまま首筋へ顔を寄せれば、何度か柔肌を爪で薄く撫でても見たけれど、近くで嗅ぐ「匂い」で多少冷めたに見えた頭の奥の疼きが再び息を吹き返して。
問いの返事を待つ間ももどかしく、顎門を思い切り閉じた。]