人狼物語−薔薇の下国

497 堕天の服従試験


邪眼の怪物 クレメンス

[そのまま腕を下せば、彼にとっての好機が巡る。
 我が身にとっては、巧緻に張り巡らせた罠が。

 翼を拡げれば、天は彼を僅かに引きあげるだろう。
 御使いにのみ許された光を糧とする地上からの別離。
 些か見上げるように、微かに顎を持ち上げ。]

 
 ―――― おいで。


[赫く眸と薄い笑み、或いは堕落への引力。
 彼の背中を重くしている泥が声に応じて泡立ち湧く。

 じゅる、と汚らしい音を立てて肩甲骨に吸い付き、翼と背中の境目を泥が埋めては流動的に巡り出す。祝福以外に触れることを知らず、まして、触れられることなど知らぬ彼に与えるは焦燥。
 翼に走らせるは緊張と不快。そうして、泥が彼の背を地へと突き落とすように重量を変えた。

 花嫁でも抱くかの如く誘って拡げた、怪物の腕の中へ。**]

(312) 2018/03/20(Tue) 02:21:52

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