[出しっぱなしにしていた手帳を忘れないよう鞄に詰め込み。
代わりに取り出したのは、オリエンテーションで配布された島の見取り図。]
どんだけ様変わりしてるんだか
[幾人かから聞いた島についての情報を統合すればだいたい見当はつくが、想像することを脳は拒否している。
最後に島を訪れた時は既にだいぶ人口は減っていた。
それでも、まだリゾート地としての体裁を保っていたように思うが、二十年という月日は記憶を朧に変えるには十分で。
海の絶える島、思い出を湛えた島。
――想いを断たれた島。
様々な思惑を乗せたこの船が行き着く先には何があるのか。
現実を、真実をこの目に映すことができた後。
帰りの船から、あの島はどうみえるだろう。
徐々に輪郭を露わにする影を見つめる黄水晶は普段の輝きを失くし。
今は太陽を遮る雲の如く、翳りを帯びていた。]**