[口の中に広がる味に、思わず口角があがる。抉った内側の、血の匂いを感じながらゆるりとカークへと振り向いて。"オオカミ"がわらう姿は、一体『人間』の目にはどう映るのか。相手の反応を確認する前に、仕留め損ねたもう一人へ、再度、飛びかかる。次の瞬間には聴こえるはずの肉に噛みつき、筋肉と神経とがちぎれ、骨にあたり、血液がこぼれ落ちる音は―――何故か聴こえない。]