[私を、可愛いと破顔してくれていたのは、
もし聞いたら、とても嬉しかっただろう。
“あの人“の息子のことを語る様子からは、
声の響きや思い浮かべる時の眼差しから雄弁に
血の繋がらない子への…けれど確かな愛情が
伝わってくるような気がして。
人狼と知りながら育てたほど、
愛していたのだろうとは、知りえずとも…。
心の中で、自分の父親との違いに、
大好きな“あの人”の子どもであることに。
その子どもが人狼で、どれほどの苦しみを抱えたかも知らず、
どうしても…羨ましいと、子ども心にも、
微かな、嫉妬めいた羨望を懐かずにはいられなかった。]