― 回想・14年前 ― ………死んだか……、[ターリス・ガーウィンの訃報は少し遅れて男の耳にも届いていた。未だ乱の名残色濃く、身辺落ち着いたとはいえなかった頃の話である。呆気ない死の知らせに、男は黙って口を閉ざした。怒りがないといえば嘘になる。当時州都にいなかったコリドラス将軍などとは違い、ターリスは自ら選んでノイアーについたのだ。主君を裏切り死に至らしめた男への怒りは、今をもって消えることはない。……けれど、] 『──生まれるものは、禍根だけではないと…、』