[ 旗艦の危機に、他のゼファー船の動向を伺っていた残り3隻が半円を描いて戻ってくる。
すでに火の回っていたゼファー船が沈むばかりになっていたのは王国側にとって幸いだった。
1隻が、小舟に矢を射かけ、牽制している間に、2隻が旗艦の救援にあたる。
火の回り始めた旗艦との間にロープや板を渡し、乗組員を避難させた。
海に落ちた者も可能な範囲で拾い上げてゆく。
自力で岸へと泳いでいく者もいた。
内心はどうであれ、慌てず船を移ったギデオンは被っていた布を背に落とし、白皙をあらわにする。]
このまま旗艦を曳航して岸に向かえ。
せっかくいただいた火だ。残りのゼファー船に届けてやろう。