──── メイン・サロン付近 ────
[ どうしてこの船の人はみんな同じ反応をするのだろう。
焦った様に"頭を上げろ"と命令する男性に>>260
"はい"と言って上体を起こす。
公僕だと言われても、綺麗な服を着ていれば
それだけで確実に私よりは上の人のはず。 ]
いいえ。私は本来、ここに居られる様な
皆さんとお話できる様なモノでは無いのです。
[ 胸ポケットに入れられた淡いピンク色の薔薇
そして真新しい服を見る。 ]
どれもこれも…私にはもったいなくて…
[ そして気づいてしまった。
今私が身につけているものは"奴隷"には見えない。
つまり、今まで出会った人は皆
私の事を奴隷だと思っていなかったから
だから、優しく接してくれたのだ。
もしこの男性に自分の身分を伝えたら
この人は離れていってしまうだろうか。
そんなのは、嫌だ。 ]