― 回想 ―
『ウェルシュ、元気にしているか?
先日は長く居られずにすまなかった。もう落ち着いただろうか。』
[そんな手紙を書いたのは、ウェルシュの父が亡くなって間もなくのこと。カルボナードでストンプ候危篤の報を受け取ったゲオルグは、急ぎストンプへと向かった。
残念ながら友と呼べた男の死に立ち会うことは叶わなかったが、それよりのち数日を、男はストンプ候の館に留まった。
慌しく進められる葬儀に領主交代に係る手続き。
父親の死を悼む暇もないのではないかと思われるその最中に、少しでも助けにならんと世話を焼いた手は、幾らか彼の助けとなったであろうか。
職務の為に止むを得ずストンプを離れてすぐ、「ゲオルグおじさん」は彼へ向け手紙を書いた。確かに、親戚のおじさんのようだと評されても仕方なかっただろう。]