― 回想 ―[それは、始まりの刻から異端と称されていた。金糸ではなく銀糸の髪。底知れぬ深みを持つ真紅の瞳。白ではあるが白ではない、月白色の翼。光手繰れど応えはなく、その意に応ずるは薄墨色の影。光り輝く天界においては異端の影翼。己が強き光に疎まれると知るが故に、影は他者との関わりを持たずに密やかに存在していた。──そんな、ある種の心地よい静寂は、思わぬ形で破られた]