[>>281『夢物語』と言った彼の言葉が耳に残っている。
――どうして、眠るときに見る夢と、叶えたいと願うそれは……こんなにも。
幾度となく考え、答えの出ない問いかけが、いま再び過る。>>207
二人も、夢を追う人なのだろうか。
宿にいる人はよその土地の者ではないかという単純な推量だ。
例えばオズの夢は、先ほどまで語り合っていたひとつの物語、あるいはそれに託された何かの想いに関わるものだろうか。
好奇心で踏み込むには躊躇われ、けれど、いつかその一端でも知り得ることがあるなら、話をしたいと思った。
わたしは。
望むのは奇跡。願うのは行動。でもそれは、この村で乞うものじゃない。
そして夢見ることは――いちばんささやかで、むずかしい、けれどもとても単純なもの。そう、笑ってくれる、物語。
席を移動しながらの軽口が面白かったので、素直に笑ってしまった。>>306
そのあとは、少し遅めの昼食をとりながら、彼らとの会話を楽しんだろう。やがて一段落ついたころ、またね、と挨拶。
荷物と食器を手に席を立ち、部屋へと戻った]
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