[ しかし、熱と火の傷に炙られて苦しむ兵士の姿は見当たらない。 そうして、もう一度風が吹く気配に顔を上げた。 ]……あ、[ ――光が轟き落ちる。火薬により生まれた風よりも苛烈な暴風が、焼け野原を走り抜けていくのを感じた。見開いた眼に映るのは現の光景とは思えない。百万の星が、黒々とした鉄の塊に群がり落ちて、眩く飛散していく。まだ浅い春の夜明け、暁の空を閃く雷のように。 ]春雷……?