[唇を湿らせるようにそっと注いだのは、薔薇の香り放つ水。城主の力満ちて咲いた薔薇を摘み、精製して得られたもの。吸血鬼にとっての血ほどではないが、精気を回復する糧となりうるものだ。] 目覚めるといい。 もどっておいで。[意識の無い体を抱き起こし、噎せないよう気を付けながら、もう少し飲ませる。彼女の体の軽さ、柔らかさを感じながら、しばらくそうして待っていた。]