…――急いでるんだろ?早く、行こう。[二度目の言葉を繰り返して、今度は手を差し伸べる。望んだ侭に繋いでくれるなら、並んでゆっくりと歩こうか。迫る別れの刻へのカウントダウンのような、一歩一歩を踏み締めながら自分の心を救ってくれた、彼の此れからに、どうか、幸多からん事を。縋る神なんて居ないから、これまで彼が出逢い、これから彼が出逢う、誰かに必死に祈った。祈る事しか出来ないから。自分には、到底、叶えられる筈もない――…*]