― カレン南駐屯基地攻略戦 ―
[夜の時間が終わりに近づいたころ、騎士団は静かに進軍を始めた。
攻城兵器は牛に牽かせているため、進軍速度は遅い。
道中の襲撃はなく、魔軍駐屯地を目視できる位置まで到達する。
できるだけ静かに進んでいるとはいえ金属鎧を身に着けた一団である。
加えて、大きな攻城塔は遠くからでも目立つ。
それでも魔軍からの攻撃なくここまで進めたのは、魔物たちが守備に徹するつもりかとも思われた。
実態は、恐怖の支配者が南へ去り、監督する者にも欠けていたための動きの鈍さであったが、さすがにそんな予想は成されなかった。]