[大きく避ければ、こちらは傷は被らない。
けれど、一度回避主体となれば、こちらが不利となる。元より短期決戦の強襲型、こうして騎馬の相手とやり合うのは、分が悪い。
もっとも、分が悪かろうがなんだろうが。
強者と立ち会う、という自分の最も強い望みは引くという選択肢を選ばせる事はなく。
ならばどうするかと言えば──]
……っせぇぃっ!
[突っ込んでくる人馬一体、槍の一撃。>>302
真っ向う向かうと見せ掛け、あえて飛び込むのは、穂先の側。
真横掠めるように飛び込むが、完全には避けきれない──否、避けない。
鋭い先端が右の腕を抉り、熱を残すのを感じつつ。
その痛みと熱を気合で押し込み、弾みをつけた上方突きを繰り出した]