― カレン・騎士公館 ―
[飛びかかってきたイングリッドに胸倉をつかまれても、振り払うことはしなかつた。
ただ、彼女の叫びを眉を寄せて聞く。
世界の終わり。すべての命の終わり。
途方もない大きさの話に、理解が一瞬飛ぶ。
それでも、イングリッドが言う"彼"が、テオドールを指していることはわかった。
彼女がすべて話し終えてから、その手首を握る。]
たとえそうでも、俺は自分の選択を変えねえよ。
世界が滅ぶかもしれない。
そう言って手を止めるのが正しいなら、アランだって、"鍵"だって俺を選んだりしなかったはずだ。
俺が、選ばれた。
なら、俺のやり方で、やるべきなんだ。