[何を諦めているんです、と。自分の行く先に平穏がないと決めかかってるように聞こえる、と。
それらの言葉に、遠い目をしていた視線をカサンドラに戻した]
オレが望むのは、平穏な頃のシュヴァルベを取り戻す事だけだ。
公国と帝国の2国のすべてをひとつにして、あの頃のシュヴァルベにしたい。
だがその目的の為に。オレはこの戦争の引き金のひとつを引いた。
平穏を完全にぶち壊すきっかけを作った。
オレの行為だけが原因だと思ってはいないが、それでも…………オレには平穏の中に戻る資格はない。
[なぜ、こんな事をカサンドラに吐露しているのか。自分でもよくわからない。
彼女が恩師の妻だった人だからか。子供のように思う教え子の一人だからか。
それとも……亡き母に、少し似ていたからか]
……まあ、仮に資格があったとしても。
オレは沢山殺して、沢山恨みを買い過ぎているからな。公国でも帝国でも。
平穏を取り戻す頃には、オレは生きちゃいない。
だからといって、そう簡単にくたばってやる気もないがな。