― 故郷 ―[ 風に乗って漂う気配に顔を上げる。 ]火薬が……こんなに多くの……[ ゆらりと立ち上がり、校舎の向こうに首を向けた。 ]砲台が、出てきたか。[ そう呟く間もあったかどうか、木々を薙ぎ倒した烈風が、かつての学び舎に押し寄せている。大量破壊兵器は、軍部の切り札とも言うべき存在だ。それがついに出てきたという事は、拠点であるはずの士官学校跡に向けて、最強の火矢、砲弾が撃ち込まれたという事は。呆然として辺りを見回した。更なる悲劇がまだ続くというのかと思いつつ。 ]