[彼は無闇に撫で回したりしないから嫌いじゃない。
決して踏み込まず、不思議と離れもしない距離感
…今度こそ、自分から声を掛けてみようと、何時も思うけれど振り返るともうそこには居ない。
最初の頃は何か違っただろうか?気付けばもう、すっかり思い出せない程当たり前の場所に居た。
扉の閉じる音を合図にもぞもぞ布団から顔を出して、大きく伸びをした。
カーテンの隙間から差し込む暖かな光と鳥の声に再びうとうとしそうになる目を擦って起き上がる。
まずは腹ごしらえ。さて今日は何をしようか…]
[……――その日の終わりに、小さな花をいくつも付けた野草がフェリクスの部屋の窓辺をひっそり飾ったかもしれない。
礼を言った事は無い。けれど、そんな日は、偶にある*]