……風よ運べ、空に御魂を。 ……水よ抱け、廻るべき命を。 繰り返される廻りの果て、再び地に花開かすため。 今は一時の安らぎを。[『白露』を手に、紡ぐのは己が一族に伝わる葬送の言葉。それを紡ぐのは12年前、病に倒れ帰らぬ人となった父の弔いの時以来だ。なお、この時は大荒れした挙げ句、「誰も手ぇ出すな!」と周囲の手を悉く振り払い。そのまま5日ほど消息不明となる、という事態をやらかして、戻ってからこっぴどく怒られた──というのは、余談である]