[容赦なく体温を奪っていく冷たい白闇の中を、
女はペーターの一歩後ろをキープし、歩いていた。
銀嵐の雪はどこまでも厳しく、人を拒絶する。
今までにも何人もの人の命を食らった自然の猛威の中で、
アルビンとリーザもどこかで凍えて震えているのだろうか。
それとも―――……。
嫌な予感は、拭えないまま。胸の中に凝りのように降り積もっていく。
時折ちらりと時計で時間を確認しながら]
ペーター。それから神父様も。
リーザのことで知っていることがあれば、教えてください。
[特に神父に対しては不思議に思うことが多かった。
リーザの失踪を最初に知ったのは、多分神父だろう。
ならばなぜ、あんな早朝にリーザの部屋に向かったのか。
確かに陰日向なく、神父が娘のようにリーザを慈しんでいたことは知っていても、そこだけが解せなかった]