― 外 ―[外に出てみれば歩けないこともない。 雪にまみれた荷車を横目で見てから、 倉庫の薪を抱えて再び宿へ向かおうとする。 短い時間でも冷たい風で手がかじかんだのか、 薪を一本取り落とす。 拾おうとしてかがめばまた数本、腕から滑り落ちる。] ああ、もう[緩慢な動きでしゃがみこみ、落ちた薪を拾う。 薪を拾う背中は無防備で、吹きすさぶ風の音に紛れて聞こえて周囲の音も気づかないまま。*]