[全軍の撤退は、相手の追撃が無いとわかれば速やかに進んだ。不意に豹変して攻撃されたらという緊張はあったにせよ、ある種の奇妙な信頼感が互いの間にあったのは確かだ。負傷した者も、歩けるものには肩を貸し、動けぬ者は周囲が手伝って運んでいく。どうしても動かせぬ者や周りの手が足りないものは残されたが、悲壮感漂うものではなかった。奥深く切り込んでいた軽歩兵たちも、次第に撤退を完了し、本体に合流してくる。そのまま森方面へと去るのを、別段隠しはしなかった。]