― その日:温室 ―
[”それ”が意識に触れて来たのは、温室に佇んでいる時だった。
目を見開き、天を仰ぐ。
暫くそうしていれば、真っ白な梟が夜の木々を間を羽ばたき、白い羽が舞った。
そして、手の中には―――]
…………だぁれ
[目を細め、手元の其れを見遣った。]
知らないな………今更、何?
[其れを握ったまま、そっと胸へと手を引き寄せた。
この身の奥で脈打つそれを、確かめるように。
意識に触れたものが、自称する通りであろうとなかろうと。]
(―――私は、もう、私の神を手に入れた。)
[ふと、ロザリオのことを思い出し、私室へと足を向けた。**]