代償は。 [裏がないオイシイ話なんて信用しない。二人は顔を見合わせたけれど、中年の方が、「実はうちの息子が退校することになって、部屋がひとつ空くんだよ」と言った。単なる状況のようにも聞こえたけど、彼にとっては隠したい身内の恥なのかもしれない。「ああ、来た。あれが息子のアラン」指ししめされた場所には、竪琴を抱えた金髪の少年がいて、瞬間的に、さっき自分を失神させた呪歌を作ったのはアイツだと悟った。関わるとマズいヤツ──と直感で思った。]