[ある時、ソマリア―ドははっきりと母親に告げた。 アランは、まっくらでおなかがすいた、って泣いているけれど、泣いていなくて、うさぎさんたべてた、と。泣いていないソマリアランの代わりに泣いていた。 ある時、ソマリアランは胸が苦しくなるほどの苦い悲しみを噛みしめて朝目覚めた。 耳元で聞こえたような気がした母親の子守歌は不完全な魔術が見せた幻だった。あれが本当の自分の家。帰りたい、と叫んだ]